
この記事の監修者
五十嵐 美貴(いがらし みき)
- 保有資格:国家資格キャリアコンサルタント/国家資格2級キャリア・コンサルティング技能士/CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
- 高校・大学での就職研修講師、職業訓練校・就職支援センターでのキャリアカウンセリング、「マイナビ就職EXPO」「DODA転職フェア」へキャリアカウンセラーとしての参加など、神奈川県を拠点に幅広く就職支援を行う。
- また、採用・昇進評価に関わる人事側からの的確な目線に定評があり、行政機関・民間企業から人材アセスメント(第三者判定)としての委託を複数受け持つ。
そもそもニートの定義とは
ニートはどのような状態のことを指すのかなんとなくわかっていても、正確な条件を知っている人は少ないです。
ニートとは、厚生労働省によると、「職に就いていない状態で通学、就職活動をしていない15歳~34歳」を指します。
参考:厚生労働省|ニートの状態にある若年者の実態及び 支援策に関する調査研究
つまり、仕事をしている人はもちろんですが、通学して勉強していたり、就活をしている人はニートとはならないんです。
ニートになってしまう原因や理由
ニートになる原因は人によってさまざまです。
たとえば、家庭の事情や病気、就活や受験に失敗してしまったのが原因でニートになる人が多いです。
しかし、一度ニートになってしまうと、「ニートの期間があると就職できないんじゃないか」と思ってしまい、働く意思があるのに行動に移せなくなってしまいます。
その結果、どんどんニートの期間が長くなってしまうのです。
何度も言うようにニートでも就職はできます。
ニートの期間があると就職できないと思い込まないで、まずは勇気を出して行動するのが重要です。
フリーターとの違い
フリーターとニートの違いはずばり「働いているか」です。
じつはフリーターはニートと同じく「無職」となりますが、ニートの定義である「職についていない」には当てはまらないのでニートと異なります。
また、フリーターは職歴こそ付きませんが、社会に出て仕事をしていたので社会と接してこなかったニートとは就活の際の評価に少し差があります。
企業からは学歴よりも年齢を重視される
ニートが就活する場合、学歴よりも年齢が重視される傾向にあり、年齢が若ければ若いほどうまく行く可能性が高いです。
つまり、就職したい人はできるだけ早く就活をするべきですが、焦りは禁物です。
慌てて就活してもうまくいく可能性は低いですし、なんとなく入社した会社がブラック企業で早期退職する事態になってしまうおそれもあります。
就職には年齢が重要と頭のなかに入れておき、焦りすぎることなく着実に就活を進めましょう。
【状況別】高卒ニートから脱却する方法
ニートから脱却する方法は1つではありません。
今回は、ニートになった経緯を3つのパターンに分けて、ニートから脱却する方法をご紹介します。
自分の状況と当てはまるパターンはもちろんですが、ほかのパターンの脱却する方法を知っておくと活かされる機会があるかもしれませんのでぜひ参考にしてくださいね。
高校卒業後すぐにニートになった場合
高校卒業後、すぐにニートになっている人は社会とほとんど接していない人が多い傾向にあります。
いきなり長期間働くのではなく、単発や短期のアルバイトをして徐々に体を慣らすといいでしょう。
また、自分の意志や考えを相手にしっかりと伝えるのは、実際に働く場合はもちろんですが就活の際でもとても重要です。
コミュニケーション能力に自信がない人は、家族でも構いませんので毎日会話をし、友人とも積極的に交流するようにしましょう。
高卒後フリーターや派遣社員を経てニートになった場合
まずは、これまでのアルバイトや勉強した経験を振り返り、自分がどのような仕事をしたいのか考えてみましょう。
そして、やりたい仕事が決まったら仕事に就くために必要な行動をします。
もし、就きたい仕事に資格が必要な場合にひとつ注意点があります。
資格取得の勉強をしながら、必ずアルバイトをして社会との接点を持つことです。
フルタイムではなく、短時間や週2~3日でも構いませんのでアルバイトをし、ニートのまま資格の勉強をするのではなく、フリーターとして資格取得の勉強をしましょう。
高卒後、正社員として働いた後にニートになった場合
なぜ退社することになったのか振り返り、同じ失敗を繰り返さないようにしましょう。
たとえば、なんとなく仕事を決めてしまい、入社後ギャップに戸惑って退社した場合は、自分が就きたい仕事を決めて、業界研究などの準備をしてから就活するべきです。
また、短期間で退社してしまった場合は正社員として入社しますが、まずは派遣やアルバイトとして働く企業を選ぶと良いでしょう。
大学や専門学校に進学するのも選択肢の一つ
就きたい仕事を考えた結果、美容師や公務員のように資格や試験に合格する必要がある場合は専門学校に進学すると良いでしょう。
また、希望する職種に大卒求人が多い場合は大学進学をしてもよいかもしれません。
ニートとは収入がない人ではなく、就業や勉学をしていない人を指します。
大学や専門学校に進学する場合もニートから脱却したと言えますよ。
本格的に就活する前に準備すべきことと心構え
就きたい仕事が決まったらいよいよ本格的な就活に入りますが、しておくべき準備はまだあるんです。
しっかりと準備をしてからの方が、就活がうまくいく可能性は高くなります。
自己分析をする
まずは、自分のいまの状況を分析しましょう。
「なにが得意で、なにが苦手なのか」「自分が興味を持てる仕事はなにか」といったことを書き出していきましょう。
少し辛いかもしれませんが、面接の際などに必ず役に立ちますので、もし自分が採用する側だとして、いまの自分に対してどう思うのか考えておくのも有効です。
また、現状の分析だけではなく、これからどうしていきたいのか将来の人生設計もしていきましょう。
より深い自己分析をしたい方には、下記の記事も参考になります。
【合わせて読みたい】
身だしなみを整える
これまであまり外に出てこなかった人は、まず身だしなみを整えましょう。
数か月以上散髪をしていない人やセルフカットで済ましていた人は、床屋や美容院でビジネスマンに合った髪形にすると良いですよ。
また、女性はナチュラルメイクをすると与える印象が良くなりますので、化粧をほとんどしていない人は動画サイトなどを参考に少し練習をしておくといいかもしれません。
スーツやビジネスバッグも用意するべきですが、金銭的に余裕がない場合は、本気で就活する意志があることを家族に伝えて援助を申し出るか、レンタル業者の利用がおすすめです。
空白期間の説明と志望動機を用意する
面接や面談では志望動機と、ニートをしていた期間になにをしていたのか必ず聞かれます。
答えに詰まってしまいがちな質問ですので、しっかりと答えを用意しておきましょう。
ただし、面接官はプロです。
嘘をついたところでバレてしまいますので、必ず正直に答えましょう。
単にニートをしていた理由だけを説明するのではなくニート期間中になにをしていたのか、その経験を経て自分がどう変わったのか説明できるようにしましょう。
無理のない程度に目標を決めて行動する
就活するにあたってよくない状況は、頭の中では就活しようと思っているのに、行動に移せずニート期間が延びてしまう場合です。
このような状況を避けるためには、簡単な目標を立てて実行しましょう。
- 1日30分は転職サイトで求人をチェックする
- 志望する業界のニュースを毎日必ずチェックする
- 〇日までに転職エージェントやハローワークの就職サポートで面談する
上記のようなそこまで難しくない目標でもいいので、まずは行動するのが重要です。
高卒ニートから正社員を目指す方法
高卒ニートから正社員になる方法は、おもに5つあります。
今回ご紹介するなかから自分に合いそうなものを選ぶのもいいですし、同時に複数の方法で就活するのもおすすめです。
それではひとつずつ解説していきますね。
ハローワークを利用する
就活といえばハローワークという人は多いです。
あまり知られていませんが、じつはハローワークには「わかものハローワーク」という若年層を対象にした就職サポートがあります。
わかものハローワークでは、「応募書類の作成の添削」、「自分に合った仕事の相談」、「面接トレーニング」などの初めて就活する人でも安心して始められるサポートが受けられます。
また、希望すれば決まった担当者にマンツーマンでサポートしてもらえますので、人と話すのが苦手な人でも安心ですよ。
これらの支援は無料で受けられますので、ハローワークの求人で仕事を探したい人は「わかものハローワーク」を利用してみてはいかがでしょうか。
転職エージェントを利用する
転職エージェントは数社ありますが、今回はニートのサポートを得意としている転職エージェントをご紹介しますね。
ハタラクティブ
- 求人数2,300件
- 添削◎
- サポート◎
- サービス利用者の40%以上が正社員としての実務経験なし
- エージェントが実際に企業に訪問をし、ブラック企業を事前にチェックしている
- 紹介予定派遣を多くしているので、企業とのミスマッチを防ぐ
就職Shop
- 求人数8500件
- 添削◎
- サポート◎
- 20代で未経験者対象の求人紹介
- 100%訪問取材で厳選された優良企業8500社以上が掲載
- 書類選考なしで内定へ近づきたい方におすすめ
ご紹介した転職エージェントは、初めて就活をする人でも安心できる手厚いサポートを受けられるのが特徴です。
とくに面接対策に力を入れており、コミュニケーション能力に不安がある人でも心配なく面接に臨めますよ。
また、実際に会社訪問をすることでブラック企業を紹介しない体制も整っているため、「ブラック企業を見分けられない……」人にもおすすめです。
アルバイトや派遣社員から正社員を目指す
いきなり正社員として働くのが不安な人は、まずはアルバイトや派遣社員として働いてみてはいかがでしょうか。
ただし、面接のときに正社員を希望していることをしっかりと伝えなければなりません。
また、派遣社員の場合は派遣期間終了後に正社員になるか選べる紹介予定派遣として入社するのがおすすめです。
リファラル採用(紹介社員採用)
ニートから正社員になるときは、ただでさえ不安なのに新しい環境になじめるのか不安な人もいますよね。
そんな人におすすめなのが、リファラル採用(紹介社員)です。
リファラル採用とは、すでに働いている知人や友人から紹介してもらい入社する制度です。
求人票には載っていない会社の環境を正確に知ることができますし、新しい職場でも知っている人がいるのは心強いですよね。
ただし、リファラル採用は求人票があるわけではありません。
リファラル採用を目指すというよりは、「こういう就活方法もある」程度に思っておくといいですよ。
専門的な資格を取得する
「すぐにでも就職したい」という意志のある人は、資格取得よりもまずはハローワークや転職エージェントを利用し相談するべきです。
しかし、希望職種が決まっており就職前にスキルや知識を身に着けたい人や、いきなり就活するのが不安という人は「求職者支援訓練」を受けるのをおすすめします。
求職者支援訓練とは、雇用保険を受給していない(就職していない)方が無料で専門的なスキルや資格の取得を目指せるハローワークが中心となっておこなう制度です。
期間は訓練によって変わりますが、おおよそ2~6か月間で土日祝以外は毎日通う必要があるためカルチャースクール感覚ではなく、就職を大前提として訓練を受ける必要があります。
訓練のコースは各都道府県によってさまざまですので、興味がある人はどのような訓練があるのか調べてみてくださいね。
また、受講するための資格についてもよく確認しておくようにしましょう。
高卒ニートから就職しやすい業界と職種
人手不足の業界は就職しやすい傾向にあります。
また、今回ご紹介するのは比較的就職しやすい職種ですが、高卒のニートはほかの職種に就けないわけではありません。
転職エージェントなどでは、それぞれのスキルや経験から合っている企業を紹介されるので、今回ご紹介する職種以外を提案される場合があります。
この中から職種を選ぶのではなく、これから就活するにあたってどのような職種は就職しやすいのか参考にしてみましょう。
介護職
介護職に人手不足のイメージを持っている人は多いですよね。
現段階でも人材が足りていませんが、高齢化社会が進みこれからさらに需要が高まる職種です。
安定して長期間働きたい人や、人と接するのが好きな人に向いている仕事になります。
工場勤務
工場勤務は体を動かす仕事をしたい人におすすめです。
基本的に黙々と作業をすることになりますので、コミュニケーションを取るのが苦手な人におすすめの職種です。
ただし、全く会話がないというわけではなくチーム内やリーダーとの確認作業などは必須ですので最低限のコミュニケーションが必要であることは覚悟しておきましょう。
営業や販売系
営業や販売系は、高いコミュニケーション能力が必須と思っている人が多いです。
じつは、営業の場合はルート営業、販売系の場合はマネジメント業などのように人と接する機会が少ない業務もあります。
人と話すのが苦手な人でも、極端な苦手意識を持たずに選択肢のひとつとして求人をチェックしてみてはいかがでしょうか。
SEやプログラマー
SEやプログラマーが高卒ニートにおすすめの理由は、未経験者でも応募できるからです。
また、転職エージェントや派遣会社でIT系の求人に強い場合、無料でプログラミング教育を受けることができます。
デスクワークを希望する人や、黙々と作業したい人におすすめの職種です。